Yocchi's property man

アスベルのガンシップ
Nausicaa of the Valley of Wind. Asbel's Gunship
「風の谷のナウシカ」ペジテ市の戦闘機 製作記
F


久しぶりの更新です。

前回の製作記更新から既に1年9ヵ月もの歳月が流れてしまいました 。
その間にも毎年5月に開催されている「静岡ホビーショー」の
”モデラーズクラブ合同作品展”に「宮崎メカ模型クラブ」の一員として
ちゃっかり参加させて頂いたりしましたが、肝心のガンシップは
主翼パーツをネジで繋ぎ止められるよう加工したくらいで外観的には
前回とほぼ変わらない状態での展示になってしまいました。
(>o<")スミマセン


静岡ホビーショー2012会場にて。


しばらく更新が滞っていた製作と製作記ですが、少しづつ再開します。

では!
まず、どうしても気になっていた所から手を付けていきます。

原作漫画に見られるように風の谷のガンシップや周辺諸国のガンシップには
離着陸用の”ランディングギア”(降着装置)が備わっていますが、
アスベルのガンシップは漫画・映画共に飛行・戦闘シーンだけの登場なので
その描写がありません。

せっかく大型の模型を作っている事ですし、その辺りをなんとか再現してアスベルを
無事に着陸させてやろうじゃないの! ってのが今回の目的なのであります。


そこで、原作漫画にくまなく目を通し、いろんなパターンのランディングギアを
確認しながらその世界観を崩さないような降着装置を
でっちあげてみる事にしました。




いろいろ妄想した結果、正面から見て胴体下の2つの張出したパーツを
主脚(メインギア)と仮定し、 基本構造は「風の谷のガンシップ」と
同じような機構で作業を進めていく事にしました。



作業開始です。
この二つの張り出したパーツはもともと主脚の可能性があると思いながらも
エポキシパテでガッチリ作っちゃったので、いまさら中空にするのは大変です。

そこで、
いったんその周辺をレジンで複製し、バキュームフォーマーを使い
中空プラパーツに置き換える事にしました。


そのまま全体をバキュームしてもいいのですが、大きさ的にも
ちょっと厳しいみたいですし、こういう時は安心第一に
”急がば回れ”なのであります。




まずプラバンで対象物周辺を囲います。
シリコンが漏れないようにマスキングテープでしっかり目止めしました。


さっそくシリコン投入ー!!



固まりました・・・。



多少はみ出た所はカッターで削ぎ落とし、もう一度プラバンで囲います。



今度はレジン投入ー!!



これで張り出したパーツ周辺のコピーが終わりました。



さっそく使い慣れた”桃象くん”でバキュームします。

原型が少々小さいのでパンチング吸引台の穴の位置にもちょっぴり気を使い
動かないよう両面テープで張り付けています。




今回のように使用する部位が原型の上半分の場合、裾まできっちりと
絞り込まれなくても特に問題ないのでゲタを履かせていません。
そもそも下半分がゲタのような働きをしてくれてるので
そのままでOKなのであります。

使用したのはタミヤの1.2ミリのプラバンです。


で、ギュイィ〜〜ン!と熱したプラバンをバキュームしました。



必要な部分を切り出し、プラスチックへの置換作業完了です。



出来上がったカバーパーツを原型の上に被せ、くり抜く為のアタリを付けてっと・・・



リューターで大雑把に穴をあけて・・・



徐々に追い込みながらピッタリ合うよう調整しました。

ようやく元の姿に戻り、ここからが本番です (;^_^A





いよいよ降着装置を作っていきます。


風の谷のガンシップの機構を参考に製作していきますが、
両者の主脚は取り付け位置が異なります。

「風の谷のガンシップ」は主脚を主翼左右に配しているのでトレッド幅も広く
安定性があります。
また、真下に向かって降りる構造なので車輪も地面に対し垂直に付いています。

対して
アスベルのガンシップは機体中央の胴体下と仮定したので、そのまま主脚を
真下に降ろしてしまうとバレーボールのマスコットキャラクター「バボちゃん」の
足みたいで、ランディングギアとしてはトレッド幅も狭く
何とも不安定な感じになってしまいます。

そこで、一考・・・・(~∩~)う〜ん

主脚は”ハの字”を描くよう地面に対し左右約45°の傾斜で昇降させることで
トレッド幅を稼ぎ、車輪は地面に対し垂直になるよう配置する事にしました。
(イメージソースはセスナ機です。)

また、車輪カバーが機体にフィットするように降着装置を
内部でスライドさせる機構も合わせて作ります。

では。

ジャンクパーツから適当なパーツを用意し車輪を作っていきます。



硬化剤を混ぜたポリパテをシール台紙で挟んで伸ばします。
この時、5ミリ丸棒を添えてポリパテを5ミリ厚にしました。




完全硬化前のまだ柔らかいうちにサークルカッターで
ザックリと切り出します。

かなりガタガタな状態に、しばし茫然・・・・




切り出したパーツをリューターに取り付け、回転させながら
ヤスリで整えタイヤを作っていきます。

ホイールを取り付け、アームに通してみました。




そして第一の難関。

車輪カバーの穴あけ作業になります。

機体に車輪カバーを付けた状態で、中のタイヤが地面と垂直になるよう
カバーに穴を開けなければなりません。

また、
カバーからのタイヤの出具合や角度を調整し、最後にアームとカバーを
固定出来るようにもしなければなりません。
すべてのポイントは角度です!

現物合わせでの作業なので、一つ一つ慎重にクリアしていきます。

で、出来上がったのがコレ↓。

何故か苦労した感が無い!〜(TT)




続いて第二の難関。

主脚です。

主脚に見立てた5ミリ丸棒と車輪アームを”特性ヒンジ”で繋ぎます。
上の作業で導き出した角度を崩さないよう作業します。
車輪のセンター軸に対して主脚(プラ丸棒)の角度が
ズレているのが解かりますかね?

手作業なのできちんとした平面や角度を出すのに
一苦労ならず2〜3苦労もするのでありました。

これまた、どう見ても苦労した感・全く無し!〜(TT)



主脚のカバーを作っていきます。

この辺も「風の谷のガンシップ」を参考に製作しますが、
やや太めにしてゴツさを出し、甲殻類生物?から流用
したかのような雰囲気を醸し出せたら・・・
なんて想いながら作業します。


まず、菜箸にポリパテを盛り付けそれらしい形にしておきます。




原型を万力で挟み1.2ミリのプラバンをヒートプレスします。

調子に乗って引っ張りすぎるとプラバンが薄くなっちゃうので、
クセを付ける程度に留めておきます。




で、ヒートプレスした物からカバーパーツを切り出します。



さっそくフィッティングしてみます。

うう〜ん、イメージよりチョット大きいかも・・・。




↓ 主脚カバーを一回り削りました。  

今度はいい感じです!

カバーの大きさが決まったので、それに合わせ主脚の長さも確定。

ここで”特性ヒンジ・その2”を作ります。
(↓四角く”コの字”のパーツです)



で、その特性ヒンジの側面に、凸溝となるようプラ角棒を接着します。



機体の中でスライドさせる為のレールを作りました。

特性ヒンジをレールのスリットにはめ込み動作確認をします。

もうちょっとスマートに出来んのかなぁ....ってな完成度・・・・
機体を接着したら二度とお目に掛かれない所だけに
頑丈に作らなきゃならんのです。と言い訳・・・ 




レールの位置はここに決定しました。



ここで可動範囲の確認です。

まず車輪を下した状態。




そして中段階。



機体側に引き込んだ状態。



特性ヒンジをスライドさせる事で、車輪カバーの位置を変えず昇降させられます。


初めて「風の谷のガンシップ」を見た時、どうやって主脚を
格納するのかその仕組みが謎でした。
当然、大体の推測は出来るのですが決定的な絵がなかったのでした。

ところが原作漫画・最終巻の”第七巻”にとうとう描かれたのです。
蟲使いが蟲を捨て、自分達もナウシカのもとへ一緒に連れて行ってくれ!
と、嘆願するシーンの直後、アスベルは「風の谷のガンシップ」に火を入れ
ランディングギアのレバーを引きます・・・
すると重い機体をググッ!と持ち上げていきます。
これを見てようやく納得したのでありました。


取り合えず降着装置のギミックはこれで完成です。


この後、それらしくディテールを追加していきます。


続いて車輪カバーを機体に固定出来るようにします。

機体の裏側からプラバンを貼り、カバーの足場を作ります。
そこにネオジウム磁石を接着しました。
使ったのは直径2ミリ・厚さ1ミリの物です。




車輪カバーにはスチール缶から切り出したプレートを張り付けます。



ネオジウム磁石を接着したプラ製足場の上にエポキシパテを盛り
離型剤にメンタムを塗った車輪カバーを”むぎゅ〜”っと押し付け
機体とカバーが面一になるよう調整しました。




硬化するのを待って磁石の効き具合がいかがなものなのか
確認してみましたが、保持力十分で非常に理想的な状態でした。




まだ接着しませんが、今回作ったパーツがどのような感じになるのか
仮組してみます。




カバーから覗くタイヤ・・・。



ちょっと引っ張り出してみました。



よかったぁー!
無事、車輪が垂直になっていました。

これにどんだけ神経をすり減らしたことやら・・・




一応、主脚(メインギア)を下した状態で主翼の垂直翼が
地面に接地するかしないかのトコロを探ると
丁度この画像の感じになります。



まだ尾部のランディングギアを作っていないので
最終的なバランスではありませんが雰囲気は掴めました。

んん〜〜ん。
尾部は尾輪式ではなくテールスキッドにしようかなぁ〜〜

さっそく尾部の作業に入る事にしますが、
今回の制作記はここまでになります。


最後までお付き合いくださいまして有難うございました。


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